ワインの風味が異なるわけ
ワインにはいろいろな味わい方があります。
風味や香りを楽しむ、熟成度、フルーティーさ、余韻などを味わう、とそれぞれの好みにあったワインが楽しめます。
ワインのもとのブドウが育つ環境、例えば斜面か平坦地か、日照量、気候、地質や水はけ状態などが違えば、
同じ品種のブドウでも、みずみずしさや味、香りが異なって育ちます。
また、栽培方法や収穫の時期をずらしてみたり、酵母や発酵の仕方を研究したりとか、
ワインの生産者たちは、自分たちのワイン造りの目標を定めて、よりおいしいワイン造りのために努めているからこそ、
消費者は、様々な香りや味のワインが楽しめます。
香りの違い
ワインの香りには、「アロマ」系と 「ブーケ」系があります。
アロマ
ブドウそのものからくる香りで、第1アロマといい、発酵しているときに生まれる香りを第2アロマといいます。
アロマティックといわれるワインは、第1アロマによるものです。
ブーケ
木樽や瓶の中で熟成するときに生まれる香りをブーケといいます。
青草や腐葉土、動物系の香り、ヴァニラや木樽の木の香り、ロースト香などがあります。
ワインの香りを表現するのに、いろいろな言葉が使われますが、直接表現する言葉はないので、似たものに例えられます。
多いのが果実や花などの植物、スパイス、ナッツなどがありますが、
動物やネコのおしっこ、ヨードや生ゴム、ワックスなどにたとえられることもあります。
ネコのおしっこなど、どうしてもおいしそうとは思えませんが、文化の違いによるのかもしれません。
ワインの色で選ぶ
色の違いによる風味の違い
ワインは色によって大きく3つに分けられますが、それそれについても濃淡があり、
その特徴を抑えておくことは、ワイン選びの時の助けになります。

赤ワイン
赤ワインは、淡い色なら渋みが少なく、フレッシュ感があります。ブドウの品種としては、ピノ ノワールなどがおすすめです。
色が濃くなるほど熟成が進んでいるので、渋みが強く、濃厚な味なり、熟成した風味になります。品種は、カベルネ ソーヴィニヨンなどがおすすめです。

白ワイン
白ワインは、無色に近い方が酸味が強く、辛口でフレッシュ感があります。
濃くなるほど酸味が少なく、重厚な味わいで、熟成度が感字られます。甘口で、複雑な風味になります。

ロゼワイン
ロゼは、製法の違いが色に影響します。
淡い色のロゼは、酸味が強く、新鮮な味わいで、渋みは少なくなります。
濃い色になると、酸味は薄くなり、渋みが増し、濃厚な風味になります。

ワインの味わい
ワインの味わいを構成する骨格となる要素は、お酒ですから、基本はアルコールです。
アルコール度数が高いと、ワインに厚みが加わります。
ワインの味わいを決めるものは、他にもいくつかありますが、これらのバランスが良いものがおいしいワインになります。
甘味
ワインに残っているか糖分が甘味になります。
甘味は味わいを濃厚に感じさせ、まろやかさも作ります。
アルコール度数が高いものは発酵が進んでいるので糖分は減り、辛口になります。
度数が低いものは甘口になりますが、酸味や苦味が強いと辛く感じやすい傾向がありますので、一概に糖分だけで甘辛の違いはいえないようです。

赤ワインは糖分を残さないように発酵させることが多く、甘口・辛口の違いは基本的にはありません。
ただ、フルボディの重めのワインで、辛口を表示しているものもあります。
果実味
ブドウしか使わないワインは、原料となるブドウ品種のフルーティーさや果実の風味も大きな要素になります。
果実味が豊かに凝縮されていると、ボディに厚みが出ます。
苦味
タンニンやポリフェノールに由来していて、キレの良さやシャープさになります。 しっかりした苦味があると、コクとして感じられることもあります。
酸味
果皮や種子にあるタンニンに由来していて、酒石酸、リンゴ酸と、発酵によって乳酸にもなります。特に白ワインでは、酒石酸とリンゴ酸が爽快感やシャープさになり、乳酸は赤ワインに含まれ、やまろやかさを生み出します。
渋み
赤ワインや白ワインに含まれる成分で、果皮や種子にあるタンニンに由来しています。渋味は味覚というより、辛味と同じように刺激物質といえ、「キメが粗い」「キメが細かい」といった言葉で表現されることがよくあります。
早飲みタイプと熟成タイプの違い。
ヌーヴォーのように造ってすぐに楽しむのが早飲みタイプで、長期間熟成させることで飲みごろになるのが熟成タイプです。
種類によって飲み頃は異なりますが、
一般的に、早飲みタイプは、アルコール度数が高く、果実味が濃いとパワフルなワインになります。
熟成タイプは、ワインの持つ各要素が時間を経ることによって落ち着き、成熟した風味が感じられます。
早飲みタイプ
フレッシュさやフルーティーさでさわやかな飲み口のタイプは、長期熟成させずに、1~2年が飲みごろになります。
各種ヌーボーやロゼ、手ごろな価格のスパークリングワインに多くあります。
熟成タイプ
長期熟成させてから味わうワインで、5年以上、長いものになると、50年、中には100年近くになるものもあります。
カベルネ ソーヴィニヨンや、比較的高価な赤ワインに多くあります。
中間タイプ
ポピュラーなワインに多く、3~10年くらい熟成させたものが飲みごろになります。
ボルドーのメドックや、ブルゴーニュの白ワインなどがあります。
ブドウの品種による味の違い
ブドウの品種によっても、違いが出てきます。
同じ品種でも、ヨーロッパとアメリカの違いが出て、ヨーロッパ系はワインらしさが強く、アメリカ系はよりまろやかでフルーティーになります。
品種の違いについては、
ブドウの品種による違い を参考にしてください。
赤ワイン
赤ワインは渋味や苦味が味わいを造ります。
渋味や苦味が強い品種から示すと、
カベルネ ソーヴィニヨン ➡ メルロ ➡ ピノ ノワール ➡ ガメイ ➡ マスカット ベリーA
白ワイン
白ワインは酸味や果実味が特徴で、ブドウの品種によって違いが出るのは当然ですが、同じ品種でも産地よって味わいの違いが出てきます。
酸味などの強い品種順では、
シャルドネ ➡ ソーヴィニヨン ブラン ➡ リースリング ➡ ミュスカデ ➡ 甲州

これらはあくまで目安で、同じ品種でも、テロワールによって違うので、
同じ金額くらいのワインを品種別、生産地別に飲み比べてみると、好みに合うワインを見つけやすくなります。
ワイン飲み比べ
一本一本飲んでいては、違いがよくわかりません。
飲み比べてみて、はっきり味の違いがわかります。
ワイン好きの仲間内での集まりに、それぞれ飲み比べて味の違いを確かめるのも、大いに盛り上がります。
さっぱりしたフルーティーなワイン
赤ワイン
白ワイン
ロゼワイン
風味とコクのあるワイン
赤ワイン
白ワイン
ロゼワイン
独特な風味のあるワイン
オレンジワイン
オレンジワインはオレンジではなく、ブドウから造られます。だからワインと呼ばれます。
白ワインと赤ワインの造り方をミックスさせたような醸造方法で、 口当たりの良い、フレッシュ感の強いワインになります。
そして特徴は、どんな料理にも合う、料理を選ばない風味から、 最近、ワイン好きの間にも人気が出てきています。
東欧のジョージアで造られていたワインでしたが、
隣接するイタリアのフリウリ ヴェネツィア ジュリアの白ワインの銘醸地にその製法が取り入れられ、世界的に知られるようになり、今ではいろいろな土地で醸造されるようになりました。

ナツメ社、井出勝茂監修、「最新版 ワイン 完全バイブル」
成美堂出版、木村克己監修「ワインの大事典」
新星出版社、木村克己「ワインの教科書」
このページは、主に上の3著を参考させていただきました。
図版や写真も多く、より詳しくワインについて知りたい方にはお勧めします。