米から日本酒を造るためには、麹が糖化を行い、酵母が発酵を担います。
空気中にある乳酸菌、蔵元の蔵などに自然に住んでいる乳酸菌を取り込んで培養する方法で、「山おろし」の作業を行います。
「山おろし」とは「酛摺り」ともいわれますが、米麹、蒸米と水を擦り合わせ、米に麹を付けてタンクに移し、空気中にいる微生物が自然について、その繁殖を待つことをいいます。
櫂で米を粥状になるまですり潰す作業で、3~4時間ごとに行われる、手間のかかる重労働になります。
●山廃(やまはい)酛
1911年に考案された方法で、「山おろし」の作業を省いて造られます。
酵母を加える前に、自然に生まれる乳酸菌が雑菌がいなくなる状態にしてくれるのを待ち、それから酵母を加えます。
「山おろし」を廃した造り方なので、山廃と呼ばれます。
山廃は手抜きのように思えますが、たくさんいる乳酸菌に中から目的とする乳酸菌だけ育てるための温度管理、酵母を増えやすくする環境管理など、細かな気遣いが大変で、蔵人の和がないと山廃造りはできないそうです。
酵母菌は糖が必要ですが、あまり糖度が高くなると生きられないので、糖度管理も必要です。
酵母菌にとっては生きにくい環境にもなるので、少しづつ菌を馴らしていかなければなりません。
こうして酵母菌はいわば鍛えられ、腰の強い酵母になります。
ここから、山廃はワイルドな風味になるといわれます。
日本酒造りでは、『和醸良酒』といわれるそうです。
蔵人たちがいがみ合ったり喧嘩をしていては、決していいお酒はできないということだそうです。
料理を作るコツは「愛情」というのに、どこか共通点があるようです。
日本酒の記事一覧
※参考文献
學燈社、「食の文化誌」
講談社学術文庫、吉田元、「日本の食と酒」
講談社現代新書、井波律子、「酒池肉林」
角川文庫、三井銀行ことばの豆辞典編集室編、「ことばの豆辞典」
新潮文庫、杉浦日向子、「大江戸美味草紙」
角川文庫、和歌森太郎監修、牧田茂、斎藤知克編、「生活むかしむかし」
河出文庫、和歌森太郎、「酒が語る日本史」
サンマーク文庫、上杉孝久、「日本史がおもしろくなる日本酒の話」
講談社現代新書、小泉武夫、「酒の話」
毎日新聞社、「話のネタ」
サイエンス・アイ新書、酒類総合研究所「うまい酒の科学」
講談社、「世界の名酒事典」編集部編「飲めば天国」
講談社、「世界の名酒辞典」
ナツメ社、武者英三監修「日本酒事典」
枻(えい)出版、「日本酒」
ちくま新書、山同敦子「めざせ!日本酒の達人」
講談社、山同敦子「日本酒ドラマッチク」
技術評論社大人の自由時間、「うまい日本酒を知る、選ぶ、もっと楽しむ」
光文社知恵の森文庫、上原浩「純米酒を極める」
光文社知恵の森文庫、古川修「世界一旨い日本酒」
日経プレミアシリーズ、北原康行「日本酒テイスティング」
三一書房、蝶谷初男「日本酒がわかる本」
成美堂出版、山同敦子「本格焼酎の辞典」
光文社新書、田崎真也「本格焼酎を愉しむ」
金羊社、「焼酎楽園」
岩波アクティブ新書 49、富永麻子「泡盛はおいしい」
西日本出版社、鯨本あつ子・石原みどり「あまみの甘み あまみの香り」
小学館文庫、瀬川慧「粋に愉しむ焼酎NOW」
枻(えい)出版、「ウィスキーの基本」
新潮選書、土屋守「ウィスキー通」
新潮社、輿水精一「ウィスキーは日本の酒である」
小学館、サライ2017、12月号「ウィスキー基本のき」
講談社+α新書、堀賢一、土屋守、福西英三著、「ワインと洋酒を深く識る酒のコトバ171」
ナツメ社、井出勝茂監修、「最新版 ワイン 完全バイブル」
永岡書店、的場恵子「ベスト・ワインストーリー」
成美堂出版、木村克己監修「ワインの大事典」
ちくま文庫、山下範久「教養としてのワインの世界史」
新星出版社、木村克己「ワインの教科書」
朝日新書、奥山久美子「極上ワイン100本」
新星出版社、「カクテル&スピリッツの教科書」
枻(えい)出版、「ビールの基本」
株式会社マイナビ、「ビールの図鑑」
宝島社、「ビールの教科書」
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