焼酎の造り方 / 蒸留方法の違いによる分類
蒸留方法の違い
焼酎には単式蒸留機、連続式蒸留機で造られる2種類があります。
税法上の区分では、単式蒸留機で造られアルコール度数が45度以下のものを本格焼酎、
連続式蒸留機で造られるアルコール度数が36度未満のものを甲類焼酎と区分します。
- 単式蒸留焼酎
- 米や麦、甘藷(サツマイモ)などのデンプン質の原料を蒸し、麹菌をかけます。
- 出来上がった麹には酵素が含まれ、酵素によってデンプンを糖分に分解します。これを2回に分けて仕込みます。2度目に仕込むとき原料となる麦や甘藷などを加えますが、この時加えるものによって、麦焼酎になるか芋焼酎になるかの違いが出ます。
- 単式蒸留機はシンプルな構造で、純度の高いアルコールを造るには不向きですが、原料などの風味豊かな焼酎になります。
- 連続式蒸留焼酎
- 原料になる糖質物(糖蜜)やトウモロコシ、麦などにお湯を加え、原料液を造ります。
- この一部をタンクに移し、酵母を加えて培養します。
- 酵母の培養が十分にできたら、大型のタンクに移し、残りの原料液を入れてアルコール発酵させます。
- できた発酵液はアルコール10%ほどですが、連続式蒸留機でアルコール分97%近くまで蒸留し、水を加えてアルコール分36%未満に下げて完成です。
- アルコールのほんのりした甘い香りがするニュートラルな酒質になり、レモンサワーやカクテルなどに適した焼酎になります。
◎岡山宮下酒造の単式蒸留機による本格麦焼酎の製造
蒸留して最初に出る液体、落としたての原酒のことを初留液(しょりゅうえき)といいます。
初めのほう(初留)と、終わりのほう(後留)は蒸気温度が一定ではないため、組成が変動し副成分が含まれるので除き、雑味のない本留を製品にします。
ただ、初留分には低沸点の香気成分がより多く含まれ、 エタノールも高濃度で分離されるので芳醇さに富み、
初留分のみを使った銘柄も作られています。
蒸留酒の製造において、地方によって呼び方がいろいろあり、初留分は初垂れ(はつだれ、はなたれ)、中留分は本垂れ(ほんだれ) 、後留分は末垂れ(すえだれ)と呼ぶところもあります。
単式蒸留機の釜内での気圧差による違い
芋などの同じ原料を使った単式蒸留の焼酎でも、風味や香りなどの個性が異なる場合があります。
これは蒸留方法の違いによるものです。
単式蒸留機には醪(もろみ)をいれる窯がありますが、この窯を加熱して、中の液体を気化させます。
気化された液体は再び冷却され、液体に戻されますが、最初の醪を入れるときの窯の内部の気圧の違いによって、2通りの造り方があります。
- 常圧蒸留 / 釜内の気圧を通業の気圧、つまり水を100度の沸点で蒸留する方法。
- 減圧蒸留 / 醪を入れる釜から空気を抜いていき、真空に近い状態で蒸留する方法。減圧すると、沸点を40~60度くらいまで下げることができます。
蒸留酒を造る際や発酵法により作られたエタノールに、フーゼル油という成分が含まれています。
本格焼酎特有の香り成分ですが、減圧蒸留にするとこの香りを減らすことができ、さわやかで軽く飲みやすい焼酎を造ることができるようになり、新しいファン層が増えました。
そのため、減圧蒸留で製造するメーカーが増え始め、飲みやすさを追求するあまり、甲類焼酎に軽く風味付けしたものと変わらなくなり始めました。
しかし、焼酎本来の味わいが失われてしまうことを危惧したメーカーで、常圧蒸留を残すところも増えてきています。
瓶のラベルに、常圧か減圧の表記があれば、
クセのない
さっぱり系が好みの方は減圧を、
原料の持ち味を味わいたいなら
じっくり系の常圧を選ぶことをお勧めします。
木桶蒸溜器
現在の蔵元は、ほとんどが金属製(ステンレス)の蒸溜器を使います。
しかし、当然のことながら、昔は木製(木桶)でした。
木桶の蒸留器は、耐用年数が短く、メンテナンスも大変だそうです。
しかも、木桶を造る職人がほとんどいません。
それでも木桶にこだわって焼酎造りを行っている蔵元もあります。
木は金属と違い、ゆっくり蒸留しなければならず、
また、熱伝導率が低いので、余分なガスが抜け、やわらかくマイルドな味わいになります。
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